February 22, 2003

応用精神変調物質-3: 厳罰は正当か?

やっと前回の続きを書けました。

覚醒剤や大麻のような違法薬物は厳格に取り締まられています。ご存知のとおり、輸入や売買どころか所持や使用だけでも逮捕、投獄されてしまいます。

違法薬物への厳罰は妥当なものでしょうか?

わたしは程度問題だとおもいますが、今の罰則はあきらかに厳しすぎるといえます。
なぜなら、
1. 合法のアルコールやタバコなどの薬物との差が正当化できないほど大きい。
2. 侵害される社会の利益(公衆の健康)にくらべて罪が重すぎる
3. 善良な市民を断罪して困窮させる恐れが強い
4. 大麻のように危険性の少ないものまで処罰される
5. 中毒、依存症、嗜癖は、刑罰ではなく治療をうけるべきもの

だからです。

(1) 違法な薬物も、危険性においてアルコールとたいした違いはないというのは前回お話したとおりです。日本のアルコール依存症患者数は3万人にもなります。治療を受けていない患者の推計では220万人とも言われます。

いくらアルコールが伝統的に認められているといっても、他の違法薬物が長期の懲役刑で、アルコールが合法というのでは差が大きすぎます。これは正当な説明をつけることができません。

アルコールで酔っ払って人に絡んでも御咎めなしで、一人で静かに大麻を吸っていたら懲役刑。それが正当な処罰でしょうか?

(2) 侵害される公衆の健康とは、ようするに多くの人がクスリを使っていれば、そのうちの幾らかの人は健康を害してしまうということでしょう。みんなの健康を害する良くない習慣だからやめなさい、と。

私の理解するところでは、自分を含む使用者集合を確率的に傷つけるということかなと思うのですが。。なんか変ですね。納得いかないので、もう少し調べてみます。

しかし、煎じ詰めれば自分を少し傷つけることに他ならないわけです。それを強く罰する根拠があるでしょうか。

(3) 日本の司法と刑罰には、ほどほどってものがないですね。犯罪が疑われるとなれば、人を逮捕して長時間にわたって留置場に閉じ込める。起訴されれば、厳格な管理をされた拘置所で数ヶ月の勾留。実刑になれば、劣悪極まりない刑務所で数年の投獄。

まったく無茶な話です。あなたのお友達のパロディ同人誌を作っている人が普通の市民であるように、ドラッグをやってる人も善良な市民が大半です。

それをいきなり犯罪者として人間扱いされない世界に放り込むなんて、残酷な倒錯としか言いようがありません。経済的に困窮すれば、つぎは本当の犯罪を犯さざるを得なくなるかもしれません。

もっと穏当な対処や、保護措置の考慮が望まれます。

(4) これについては、大麻非犯罪化運動をしている人たちが大勢いるので、そちらを推薦します。

(5) たとえば、規制当局も覚醒剤中毒・依存症には早期治療が必要と言っています。しかし覚醒剤使用が重罪であれば、多くの人は病院を訪れることに二の足を踏むでしょう。薬物規制によって使用者の健康が害されるのであれば、規制は全くの逆効果ということです。

覚醒剤に限らず全てのドラッグの依存症や中毒では精神科の治療が有効です。それどころか、そもそもドラッグを使いたくなる気持ちが、精神的疾患や不調に基づいていることが多いのです。

ようするに早期の治療が有効なのですが、こんなに規制が強ければ、なかなか病院に行って「麻薬やめたいんですけど」とは言いにくいですよね。国民の健康を守るための規制が、逆に健康を害するように働いているのです。

(参考資料)
カンナビスト
麻と人類文化
佐藤研究室
麻薬・覚せい剤乱用防止センター
DanceSafe

Posted by arai at February 22, 2003 07:56 AM
Comments

酒はいいとして煙草が一番危険です。
DNAに傷を付ける発ガン性物質を含むからです。
大麻より明らかに危険。
ガンになってからでは遅い。

Posted by: tony on February 22, 2003 11:18 AM

コメントありがとうございます。

わたしの理解では、煙草の発ガン性は、燃焼の副産物である一酸化炭素、ベンゼン、粒子状物質などによるとおもいます。
ですので、草(と紙)を燃やして吸う大麻も同じような危険があるのではないでしょうか。フィルタがないと、より危険かもしれません。肺にためこみますしね。水パイプだと、どうなんでしょうね? 研究結果はあるかな。

ニコチンやTHCだけを通過するフィルタがあればいいですね。そして受動喫煙の発生を防止すれば、コーヒーのような優れたドラッグになりそうです。(ちなみに私は珈琲のヘビーユーザです。個人的には最高のドラッグだと思います。最近は神経が弱いので、ODするとたちまち動悸・不安・胃弱の副作用がでますが...)
ニコチン/THC添加飲食物の可能性については真剣に検討する価値があるとおもいます。すでにspace cakeとかありますけどね... 燃やして煙にするから発ガン性や受動喫煙が生じるので、飲食すればOKです。ただ作用発現が遅くなるので、今度はODの危険があるかもしれませんね。
これは認可されれば大きなビジネスになるでしょう。ただ臨床試験が不可欠なので、製品の作成は製薬会社しかできないかもしれません。応用サービス(コーヒーショップとか、ヘッドショップとか)に乗り出しますかね。

ちなみに、煙草が大麻より明らかに危険なのは、強い依存性を持つためです。ちょっと試してみたつもりが気づいたら依存症患者になってしまった、そんな悲惨な光景はいたるところで目にすることができます。もっとも悲惨なのは受動喫煙による子供の喘息などですね。恐ろしい現実ですが、これを政府は許しているわけです。なんたることか。

Posted by: arai on March 1, 2003 02:54 AM

もちろんニコチンやTHCを製剤化して、インヘーラーにしたてるという最近はやりのDDS製剤も可能ですね。グラクソ...あたりが本気になれば簡単に作れそうです。味気ないかもしれませんが、とりあえず煙草の置き換えに販売してくれないかな。(まあ、グラクソ...は初の禁煙用抗うつ薬であるザイバン--bupropion hcl--を準備中ですが)

Posted by: arai on March 1, 2003 03:07 AM

今の厳罰が厳しすぎる、のではなくて、アルコール、煙草に関する厳罰が甘すぎる、のではないでしょうか。
煙草は他人にも大きな被害を加えるわけですし、合法というのが信じられないし、それは国として考え直すべきだと思います。
でもだからといって麻薬が認められる、という訳ではないので、アルコール、煙草についてをもっと厳しくすべきだと私は思います。
そういって厳しくしていったら珈琲も飲めなくなってしまうのですがね・・・(苦笑)

Posted by: as on December 19, 2003 12:33 AM

はい、そういう解決方法もあります。
国によってはアルコール厳禁のところもありますね。
煙草や珈琲まで禁止というところは知りませんけど。

このシーズンに電車にのったりすると、
アルコールや煙草を禁止する方向もありかな、
なんて一瞬おもったりします。たしかに。

Posted by: arai on December 19, 2003 12:54 AM

モルモン教ではコーヒー禁止ですね。罰則ないけど。

Posted by: itojun on December 19, 2003 11:24 AM
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