June 15, 2003

気がつけばずっとオンラインにいた

こちらに触発されて思ったこと。

気がつけば、生まれてから殆どの時間をオンラインで過ごしている。私の記憶に残っているのはアスキーネットに接続するための一冊の本が我が家にやってきたことだった。300bpsの音響カプラで接続したそれは不安定だけれども、沢山の可能性を感じさせてくれるものだった。

私はそのときはゲーム好きの子供であって、Online GameがやりたくてアスキーネットのUltra Rogue(やProvince)に期待をつないだのだった。しかし、それは私の希望を満たしてくれるものではなかった。いまでもOnline Gameをやりたいと思っているが、もうあれから数えられないほどの年月がすぎたのに、私のやりたいようなOnline Gameは殆どないのであった。技術の問題ではないのだろうか。(Nova Logicの初代Delta Forceが唯一面白いと思ったOnline Gameかな...)

いずれにせよ、そのアスキーネット実験時代を経て、ASCII-NET PCSで少年時代を過ごし、多くのことをPCSで学んだ。プログラミングをすることなど、お金を得るための全ての技能はここを通じて身につけたように思う。学校が嫌いであったのはネットワークの影響ではなく、それ以前の幼稚園時代から大嫌いであった。が、しかしオンラインでつながることで、私にとって学校は嫌いなだけでなく、不要なものにもなったのだ。そして中学校へは殆ど行かなかった。

けれども私にとって一番幸せな記憶というのは倫敦で過ごした三ヶ月であった。ただ散歩をして、ビールを飲み、人と話す。オンラインでないことが、こんなにも幸せなのかと不思議な気がした。

パソコン通信をするということは特別なことであり、それ以上にjunetという言葉はずっと憧れでもあった。rootが特権階級であったころの話。それがインターネットになって誰もが(uucpですらなく)IPで接続する時代になった。

だれが「メール」や「書き込み」などという言葉をみなが使う時代を想像しただろう。だれが電車のなかで普通の勤労者がLinux入門などという本を読む時代を想像しただろう。だれがプログラマやrootがふつうの職業の選択肢になる時代を想像しただろう。

あの時代、プログラマは魔術師であり、rootは領主であった。そしてオンラインは私の世界であり、オフラインは冒険するべき空間であった。

いまや携帯電話にはメール機能が必ず搭載され、世界のどこにもオンラインが存在するようになった。そして常時接続が当たり前となった。もはやオンラインやオフラインなどという言葉は死語となってしまった。世界中の街角で出合った誰とでもメールで交信できる心地よいぬるま湯のような世の中。

だけど、これは私たちが望んでいたものだったろうか?

もはや私の育った場所であったオンラインは特別な世界ではなく、もはやオフラインなどは遠く遠く離れたどこかにしか存在しない。私が崇拝していた魔術師たちは力を失ってしまったのだろうか。それこそが異端として排斥されずに社会に受け入れられるための代償であったのだろうか?



私に技術を与えてくれた、たいにゃん、恋塚さん、はがね、metysさん、大野護さんに心からの感謝をこめて。もちろんASCII-NETの会員と運営者の皆にも尊敬と感謝をこめて。

There were times
I remember
Had to fight just to hold my head up

Posted by arai at June 15, 2003 04:33 PM
Comments

つい感傷的な文章を書いてしまうのが悪い癖です。

でも、そう、先日はバンコクのバーテンダーの女性からメールを貰い、つい一昨日にはインドのバラナシを旅行中の日本人女性にメールを貰い、いまはソウルの知人たちとメールを交わしているのでした。そんな世の中になるなんて、ね?

"I am definitely not one of those who continually decry
the present and sigh for the past. But I do think that some-
thing fine and splendid has gone."

Posted by: arai on June 15, 2003 06:36 PM

私はいまだに、今ここにあるネットワーク、の意味を理解
できないでいるような気がします。同時に「握りしめた掌
のぬくもり」(これは、私にとってのオフラインの象徴み
たいなものです)をここちよいと思う理由も判らないまま
です。そこらへんのもやもやを文章にして整理できたらい
いと思うのですが、なかなか難しいです。

キャピタリストとしての私は、私が手にしているものが私
が望んだものであるとささやくのですが、たぶん、それは
私の望んだものではなかったような気がします。といって、
なにを望んだのかという問いに答えられるわけではないの
がつらいところですが。

Posted by: もゆ on June 21, 2003 12:50 AM
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