January 17, 2005

テロは阻止できない

駆け出しのセキュリティ技術者として言わせてもらうと、テロ対策とかいって国家が行うプロジェクトのほとんど全ては実質的にテロを阻止する効果がないものだということができます。ただ、空港で行う対策のいくつかには「乗客の不安を取り除く」という重要な効果があるので、それはまた別に考えます。

Bruce Schneierの好著であるBeyond Fearでは、セキュリティを五つのステップで分析することを説いています。またPost 9/11のテロ対策についても分析をしていますが、国家がテロ対策をする困難を次のようにまとめています。それはテロリストの標的となる施設などは無数にあり、全てに対策をすることは不可能であるということです。

韓国テグの地下鉄火災で多くの人が気づいたことがあります。それは爆弾や武器を取り締まり、空港や政府施設を厳重に防御したとしても、ガソリン一つあれば大勢の人間が殺せることです。鉄道、バス、劇場などはとくに脆弱な標的ですが、デパートなどの商業施設も全て危険です。

これを防ごうとすれば、戒厳令を敷き、街角に武装した兵士を立たせて検問するしかないでしょう。そんなことをすれば自由経済はたちまち破綻します。

政治家や技術者の皆さんには残念ですが、テロを防ぐために必要なことは地味なことばかりです。外交努力をする。交通手段の過密を減らす。消防対策を強化する。警察等人員を強化する(変なテクノロジーを導入するのではなくて)。

もう一つ重要なことは、(あたりまえですが)現状ではテロはめったにおきず、きわめて低い人命リスクしかないということです。私やあなたがテロで死ぬことは、まず考えられないわけです。戦前のように特定の政治家や運動家などが狙われれば、そういう人達はとくに恐れをなし政治が誤ることになるでしょうが、日本ではラビン首相のように有力な政治家もいませんしね。

Beyond Fearは面白いのでぜひ読みましょう。技術書ではなく、一般向けです。とくに情報流出対策に悩む企業の方などにおすすめ。邦訳がでたら、普通の読み物としても楽しめますね。なぜ邦訳でないんだろう?

Posted by arai at January 17, 2005 01:23 AM
Comments

テロが日本で滅多に起きないのは、
テロに用いる手段が少ないというのもありますね。
テロで対象となるのは、"不特定多数"(ある程度の狙いはあると考えますが…)として、実現するだけのアイテムが手に入りずらい。もしくは、手に入れてもその前に発覚しやすいというのがあると思います。
ただ、狭い視野で見た場合、小学校に乱入したM被告などもある意味テロ行為と思える気がします。

まあ、じゃなかったら日本もテロがいつ起きても不思議じゃない国になっている気がします。

Posted by: なぎさ on January 17, 2005 04:04 PM
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